
『おにぎり ぼんご』/代表 右近 由美子
新潟市生まれ。東京・大塚の『おにぎり ぼんご』代表。高校卒業後に単身上京。食べ物が口に合わず悩んでいたときに『ぼんご』に出会い、おにぎりとの人生が始まる。店名『ぼんご』の由来は打楽器のボンゴから。音が遠くまで響くように店名も遠くまで響き渡りお客様に来ていただきたいという想いで命名。好きなおにぎりは、母が作ってくれた梅干しと筋子。
「美味しくて、冷めてもかたくならない」おにぎりが食べたいというお客様の声に応えた結果、たどり着いたおにぎりのためのお米は"新潟県産米"
『おにぎり ぼんご』は、代表・右近由美子さんの夫で創業者の祐(たすく)さんが昭和35年(1960年)に開店した老舗おにぎり店です。注文を受けてからその場で調理されるおにぎりは、温かく、大きく、具がたっぷり。ふんわりとやさしく握られているので、口に入れるとはらりとほどけ、香りと味が広がります。そのおにぎりのおいしさは年齢性別を問わず多くのお客様から愛され、おにぎりの名店として知られるようになりました。
「日本人だとおにぎりを知らない人はいませんよね。遠足とか運動会の楽しい思い出があったり、お母さんやおばあちゃんに作ってもらった温かい記憶があって。そんな良いイメージも含めてお客様は『おにぎりはおいしい』と言ってくれるんだと思います。」と右近さんは言います。
そうしたおにぎりのおいしさ、楽しさ、温かみをお客様に届けていくことが右近さんにとっての「おにぎり屋の仕事」なのだそうです。

「若いときはお金になる仕事の仕方をと思っていました。主人が亡くなって私ひとりなら、お金だけでなくもっと人と人のつながりを大切に仕事をするのもいいなと思い、変わっていきました。今はみなさんが楽しく食事ができる取り組みをしたいと思っています。おにぎりは手軽で気取らないものだからこそ、食事をするシーンにいつもあります。私はそんなおにぎりを心を込めてつくることで、みなさんの楽しい食事の思い出を作っていきたいと思います。夢は世界中でおにぎりが食べられるようになることですね」
『ぼんご』で使われているのは、新潟県岩船地域の山あいでつくられたコシヒカリ。「お客様が言う『こういうのが食べたい!』というおにぎりをつくろうと思ったら、結局こだわらざるを得なかったんですよ。」と右近さん。お客様が言うことを突き詰めていくうちに、米はこういう米、海苔はこういう海苔、塩はこういう塩、と決まっていったのだそうです。お客様の声に応える形で選んだお米ですが、今では右近さん自身も「おにぎりを作るならコシヒカリがいいかな」とのこと。岩船産コシヒカリの魅力も教えてくださいました。
「『ぼんご』で使っている岩船産コシヒカリは粒が大きいから、ふっくらと空気を含んだおいしいおにぎりになるんです。粒が大きめのお米をしっかり浸水させて少し硬めに炊く。そうするとお米一粒一粒が自立して味がよくわかります」。
おにぎりは鮨と一緒でほろっとほどけるほど、少しでも多くの空気を含ませるのがコツ。お米の粒が小さいと粘りやすく、粘るとおにぎりが潰れてしまうので、粒が大きい岩船産コシヒカリはおにぎりに向いているそうです。

岩船産コシヒカリを使うようになったのは、お客様の声がきっかけだったと言います。
以前は他産地のコシヒカリのブレンド米を使っていたのですが、釣りに行ったお客様が時間が経ったおにぎりを食べようとしたところ固くなってボソボソになったそう。そこで「なんとかならない?」と言われた右近さんは、冷めても固くならない、おいしいお米を探し求めた結果、岩船産コシヒカリにたどり着いたのだそうです。
「あったかいご飯だとお米の違いってそんなに分からないんですけど、冷めたら一目瞭然。いろいろと炊き比べてみた中で、岩船産コシヒカリ、棚田のお米は特においしかったんです。」と右近さん。ただしコスト的に難しい面もあって、どうしようかなと思っていたとき、遠縁の米屋を紹介してもらうことに。定期的に購入していただけるならと、以前に使っていたブレンド米と同じくらいの値段で品質の良いお米を使えるようになりました。「おにぎりは米、具材、海苔、塩とあって、主役はやっぱり米です。お米を替えてからお客様に『ご飯がおいしい』と言われることが多くなり人気が出て、それ以来ずっと岩船コシヒカリを使っていて、これからも替える気はありません」。
『おにぎり ぼんご』
所在地:東京都豊島区北大塚2丁目27-7
TEL:03-3910-5617
